この記事では、男性を対象に、「産後クライシス」の回避法・対策法を6つにまとめました。

「産後クライシス」(4):ぜひとも回避を!妻向け対策法>につづく夫向け対策編です。

夫向け対策法 ① 危機感をもって「家事育児」に参加しよう!

あまりにもベタですが、家事育児をしましょうという提案です。

これを読んだだけでうんざりしてこの先を読む気がしなくなる気持ち、よーくわかります。

でも、もしあなたが本当に「産後クライシス」を回避したいのなら、これが最良にして最高の回避法です。

なぜなら、平時はともかく、出産後から子どもが2歳になるくらいまでは、文字通り家族・夫婦の「非常時」だからです。

にもかかわらず、ベビー誕生を機に、男性はむしろ家事育児から遠ざかる傾向があります。妻が妊娠・出産で仕事を辞めたり育児休暇を取って家にいるようになるからでしょうか。

共働き時代は一緒に家事をこなしていたカップルも、家事のほとんどを妻がやることになるケースが多いようです。

「今までは共働きで家事も当たり前にやってくれてた夫が急変。『ルンバのボタンおすのもイヤ』と言われた」。このような愚痴をこぼす女性は少なくありません。

夫としては、「(妻が)家にいるんだからいいだろう」と高を括ってしまうのでしょうか。

でも赤ちゃんが生まれたいま、高をくくっている場合ではありません。

子どもが産まれたことで、家事の総量はゆうに5倍は増えます。

しかも妻は出産によって身体的・精神的・社会的危機にみまわれ、身も心もボロボロです(詳しくはコチラ<「産後クライシス」(2):なぜ出産後に夫婦愛は冷めるのか?>)。

それだけに妻はこれまでの人生でかつてなく切実にあなたの支え・助けを求めています。

夫向け対策法 ②「手伝おうか?」はNGワード!

家事・育児のシーンで「手伝う」と夫が言った場合、妻の耳には「あくまで育児の担当はOK)まえで、俺の本来の業務ではない」と聞こえます。

そのあたり、妻はとても敏感。

「手伝おうか」という「当事者意識のなさ満開ワード」は、口から出た瞬間「あ、この人ダメだわ」と妻をがっかりさせる極めつけの言葉です。

では、「手伝おうか?」の代わりになんと言えばいいのでしょうか。

理想的なのは「○○やっとくね」といった「主体性のある言葉」。

妻に絶大の安心感を与えることができること請け合いです。

でも、「やっとくね」と言った以上、途中放棄はNG。

この一言を自信をもって言うためにも、常々家事育児スキルを磨いておきましょう!

夫向け対策法 ③ 里帰り出産にご用心!

最近少しずつ減ってきていますが日本では「里帰り」出産をする人がまだまだ大勢います。

この慣習に水を差すわけではありませんが、「里帰り出産をしない方が夫婦関係が良好」というデータが示されています。

理由の1つは、里帰りの場合、妻が先に母親になってしまい、夫が父親になるのが遅れる、つまり親としてのスタートがズレるからです。

育児スキルの面からみても、産後1か月もすれば、新米だったママ(妻)もオムツにしろお風呂にしろかなり手慣れてきます。

一方、夫は新米のまま。たった1か月で“戦力外”化してしまっています。

モタモタした手つきでやろうとすると、「姑に監視されるお嫁さん」状態に陥ります。

「せっかく“手伝って”あげても妻がダメ出しばかりするし・・・」と夫としても面白くない。ますます“手伝わなく”なる悪循環。

こうなると行く先の「産後クライシス」が心配です。

せめて妻が里帰り中は、土日ごとにベビーの顔を見に行き、 “戦力”化に努めましょう。

 

夫向け対策法 ④ 「育休」をとってみよう

育休は「産後クライシス」の特効薬です。

ママ抜きで一人で育児責任をもつ経験をしてみれば、その効果は絶大。

「百閒は一見にしかず」ならぬ、「百閒は一行(一度やってみる)にしかず」、育児の大変さ・楽しさを実感。妻の心に寄り添えるようになります。

とは言っても、依然として男性が育休を取ることへの風当たりの強さはわかります

そこで、おススメは、まずは「産後1週間の有給休暇」の消化。

よく育休中の父親が「家事育児」より「仕事」してる方がずっとラクとおっしゃいます。

それもこれも経験してみないとわからないことですよね。

夫向け対策法 ⑤ 「お金」でリスクを減らそう!

「産後クライシス」の簡単で効果のある解決法は、家事の「省力化」です。

クライシスの一因は家事・育児ストレスですから、総量を減らしてしまうという発想です。

たとえばまだお持ちじゃない方は、子育て家庭の「新三種の神器」―お掃除ロボット、食洗器、全自動洗濯機の導入を検討するなどなど。

ベビーシッターや家事代行サービスを利用するのもいい方法です。むしろ、一度使えば病みつきになるといいます。

夫婦ともに余裕をもって育児に当たれるようになる可能性大です。

(自治体によっては、補助金を出しているところもあるので、要チェック!)

夫向け対策法⑥ 妻に心からの「ねぎらい」を!

対策法①では、家事育児を「すること」を絶賛おススメいたしました。

しかし、夫への愛情キープにもっと効き目があるものがあります。

それは、「ねぎらいの気持ち」。つまり、精神的ケアです。

子育てに追われるなか、仕事中の夫からのメールに「育児、お疲れさま」と書いてあるだけで気持ちが楽になる。

会社から帰ってくると、「今日も大変だったろう」といたわってくれる。それだけで「この人といっしょになってよかった」と思う妻は少なくありません。

おお、家事育児をしなくても、「ねぎらい」の言葉を言うだけならオレにもできると思った方、要注意です。

「ねぎらう」のって実はそんなに簡単ではないからです。

日ごろ、子育ての「いいとこ取り」だけして責任をもった子育てをしていないと、子育てにストレスがあること自体想像できません。

骨身に沁みるしんどさを理解していない夫から(口先だけ)ねぎらわれても、かえって妻の反感をかいます。「わかったような口をきいてほしくない」と逆効果?!

産後は「夫婦の正念場」=夫婦の絆・愛情が試されるとき

なんだか不安 になってしまったあなた。この際、あえて気休めはいいません。

なぜなら子どもが2歳になるまでの時期は、夫婦の正念場だからです。

「母子家庭調査」(厚生労働省)によれば、「母子家庭になった時期」で最も多いのは子どもが0~2歳の時期。全母子家庭のほぼ3割にものぼります(未婚の母、死別ケースは除く)

言葉をかえれば、この時期は夫婦の絆、愛情が試されるときも言えましょう。

心ならずも離婚なんてことにならないためにも、あなたの人間力を存分に発揮して二人の「愛の結晶」を末永く慈しみ育ててくださることを願っています。

【参考文献】

NHK内田明香・坪井健人 2013 産後クライシス ポプラ新書

<編集者のコメント>

女性は家庭内の不満や愚痴を友達に話すことで発散するけれど、意外に男性はそういった場が持ちにくい。

というより、男性の特徴として、自分のプライベートや夫婦間の悩みなどを相談するといった習慣が女性に比べ薄いように感じます。

そのため、産後クライシスなる危機を迎えても、相談せずに悶々としており、解決に向けた行動もとれずに右往左往。その間に状況は悪化の一途をたどっていく。そんな不器用な方も多いのではないかと思います。

そんな方へ、救いの手となりうる記事ではないでしょうか。

ぜひたくさんの男性に読んでいただき、解決に向けた具体的行動の一助になることを願います。